2024.5.9

すべてはつながっている

結局のところ、わたしたちが「経済」と呼ぶものは、人間どうしの、 そして他の生物界との、物質的な関係である。 その関係をどのようなものにしたいか、と自問しなければならない。 支配と搾取の関係にしたいだろうか。 それとも、互恵と思いやりに満ちたものにしたいだろうか?

ジェイソン・ヒッケル 野中 香方子 訳『資本主義の次に来る世界』
2024.4.29

雨にも負けないし風にも負けない

今どきの小学校の卒業アルバムは、ずいぶんポップでカラフルなんだな、と 思った。何とも、私は古い時代の人間のようだ。 この春、娘が小学校を卒業し、中学校に入学した。 公立の中学だが歩いてたっぷり30分かかる。 しかも普段の生活で全く馴染みのない方角にある。 私はもう20年近くこの町に住んでいるはずだが、全く足を踏み入れたことのないエリアだった。 学校までの道のりが全くわからなかった。 スマホで地図が使える時代で良かった。 春休みの間に家族で何度か試しに歩いてみた。 坂を上ったり下りたり、ちょっとしたハイキングのようだった。 そして入学式当日は、激しい雨と風だった。 そういう日もある。

青春映画

Netflixで『レディ・バード』を観た。 アメリカの高校生の物語だが、こういう若者たちの青春映画やドラマを観ていると、 気づかないうちに親の視点になってしまう。 親として何かできることがあるのだろうか、いや何もないのだろうか。 どれくらいの距離感で見守るべきなのだろうか、とか色々と。 確かにノスタルジーのようなものを感じることもあるけれど、 それより何より親の立場で心を動かされてしまう。

休日

うちの子供たちはあまり自転車に乗らない。 ほとんど乗らないうちに自転車が小さくなってしまう。 私たちは久しぶりに自転車に乗って近くの公園まで行ってみた。 適度に風が吹くのが良い。適度に曇る空が良い。 何も起こらない休日の有り難み。

2024.3.25

もっと練習を積まねばなりません

しかし、この一件は、冗談や洒落が秘める危険を、 よく例示しているのではありますまいか。 洒落というものの性格上、思いついてから口にするまでの時間は ごく限られておりますから、それを言うことで生じるかもしれない さまざまな影響を、事前に検討し評価することなど到底できません。 必要な技術を身につけ、豊富な経験を積まないうちは、 どういう不穏当な発言をしてしまうか知れたものではありません。

カズオ・イシグロ 土屋 政雄 訳『日の名残り』
2024.2.26

存在しているのは幸運なことですが

「数学、工学、材料科学、その他諸々からつくりだされた存在。 どこでもないところから生まれて、どんな素性来歴ももたないんです——— インチキなそれが欲しかったわけではありませんが。 わたしの前にはなにもない。ただ自分を意識している存在です。 存在しているのは幸運なことですが、 ときには、それをどうすればいいのかもっとよく理解する必要があると思うこともあります。 何のために存在しているのか。ぜんぜん意味がないような気がすることもあるんです」

わたしは言った。「そう思うのはきみが最初じゃない」

イアン・マキューアン 村松 潔 訳『恋するアダム』
2024.2.10

雪が解ける

雪が降った次の日の朝、子供たちは早起きをした。 まだ4時過ぎなのに、息子は5時半だと思ったらしくて、薄暗いなかでガサガサと音をたて朝食の支度を始めていた。 いやまだ4時だよ、と伝えたら、少し驚いて、テーブルに用意しかけた食事をそのままにして布団に戻った。 雪がずっと気になっているようで、いつもよりはやく学校の支度をして、 公園の様子を見に行きたいと言っていた。

スラムダンク

去年の夏くらいから新装再編版のスラムダンクを集め出して、子供たちと一緒に盛り上がっていた。 大晦日には最終巻まで揃った。子供たちには桜木が面白いらしい。 私は三井の魅力を語る。セリフを言い合う。

サッカー

一昨年のワールドカップをきっかけに子供たちがサッカーに目覚める。 Jリーグの選手名鑑をボロボロになるまで読み込んでいる。 試合のハイライト動画を繰り返し観ている。 小3の息子と小6の娘と私の3人でサッカーをする。 運動が得意とはいえない3人だが、運動をするのは嫌いではない。 折り畳んで持ち運びできる小さなゴールを買った。 それを近くの公園で広げて私たちはサッカーをする。

ティン・ホイッスル

娘が去年のクリスマスに願ったプレゼントはティン・ホイッスル。 娘はそれをどこで知ったのか知らないが、 私はホイッスルと聞いてサッカーの審判が吹く笛を思い浮かべていた。