夏休みの終わり、夜
ベランダから眺めると、木星と、たぶん土星と思われる星が絶好の位置だった。エアコンの室外機から出る熱風の横で汗だくになりながらピントを合わす。たぶん、土星だよ、あれが。ラプトル50のファインダーの素晴らしさは、ただただシンプルだということ。狙いを定める。微かに揺れる、震える、止める。ぼやけた楕円形が見えて確信する。やっぱり土星だ。ピントが合って、とてもとても小さいが、土星の輪がはっきり見えた。すぐ動いてしまうから、そっと、見て。子供たちが交互に覗き込む。美しい、という小さな声が漏れた。それだ、私もそれが言いたかったんだ。その言葉がとても自然に聞こえた。